-紅イ木ノ葉-俺はあの日が忘れられない――― あの日はあいつと出逢った日だから。あいつの――― 時は夏の夜――。 暗い森の中に1人、神楽が座っていた。 奈落の匂いがするほうへ、俺は走っていたから、すぐに神楽を見つけた。 声を出そうとして、俺はやめた。 その時俺は、自分のしたことの理由が分からなかった。そして、今でも分からない。 とにかく、その場の凛とした雰囲気を、壊したくなかったんだと思う。 神楽は透き通るような紅い瞳で、空をじっと見ていた。 暫くの間、俺はその場に突っ立ってその光景を眺めていた。 その内、神楽の瞳がとろんとしてきて、瞼を閉じた。 俺はそっと神楽に近寄り、かがんで、真正面から寝顔を見た。 整った顔立ち。雪のように白い肌。ツヤのある黒髪。 ころほど魅力的なものを目の前にして何もしないなんてできるわけ無い。俺は理性が利かなくなった。 腕を引いて自分の胸の中に抱きこんだ。 ふわりと、軽く俺の肩に顔が触れる。 ほのかに温かい、神楽の体温が伝わってくる。 あのまま時が止まってくれたら、と思った。 しかし、抱いた数分後に神楽は目を覚ました。 「ん・・・?ここは・・・?・・・ってこうっ」 半分夢見心地だった神楽は、その状況ですぐ覚醒した。 腕の中から逃げようとする神楽を、俺はあっさり制した。 「お前・・・こんなに綺麗だったんだな・・・」 ちらりと神楽の顔を見たときは、瞳と同じように、真っ赤だった。 神楽は赤い顔を上げ、俺をまっすぐ見て、 「どうしてここに居るんだ?」 率直な質問をした。 俺はなんて言っていいのか分からなくて、 「お前に逢いに来たから」 適当なことを言ってしまった。 だが、単純だった神楽には、それで通用した。 「あたしに逢いに・・・?それってどういうこと?」 流石に事態を飲み込めたのか、いくらか真面目な顔で俺に質問してくる。 “それってどういうこと”・・・。理由は1つだよな。 「この通りだよ」 俺は神楽を抱いている腕に力を込めた。 よりいっそう近くなった神楽の顔から、甘い吐息が漏れ、耳をくすぐった。 吐息に言葉が交じっていた。 「ありがとう・・・」 言葉を聞いた俺は、誰にともなく呟いた。 「礼なんていらねぇ・・・」 暫くそうしていたが、やがて2人とも離れ、帰ろうとした。 「鋼牙」 不意に名前を呼ばれて俺は驚いたが、すぐに笑顔をつくり、どうした?、と返答する。 「明日はあたしから逢いに行くよ」 キリッとした表情でそう言うと、神楽は羽根を取り空へ舞い上がった。 季節外れの紅い木の葉が1枚、俺の後ろへ落ちた。 それが何を意味していたかなんて、俺には知る由もなかった。 ―――――翌日の夕方。 暗くなりかけた空を見ながら、俺は洞窟の前で待っていた。 「遅ぇなぁ・・・」 そう1人ごちて、岩の上に仰向けに寝転んだ。 その時俺の鼻に飛び込んできた匂いは・・・ 「血の匂い・・・?」 上半身を起こして俺は首をかしげた。 (何だこれ・・・?どっかで匂ったことのある血だ・・・あっ、これはっ・・・!) 暫く考えて誰の血の匂いか分かった俺は、急いで飛び起き、岩肌を滑るように走り出した。 (一体なんであいつの血が・・・!?) ワケの分からないまま、血の匂いを辿って俺は全速力で走る。 一段と匂いの強まった森の中で俺の見た光景は――― 飛び散る鮮血。目の前に広がる惨劇。 俺が到着したと同時に神楽は倒れた。 その倒れる瞬間が、“季節外れの紅い木の葉”の表す意味だと分かった。 地面はみるみる内に神楽の血で染まった。 「神楽っ!」 俺は叫んでいた。 あとがき って言ってもまだ終わらねーから書くこと無いんスけどね~・・・ とりあえず、甘いのとシリアスを混ぜようと思って書いたんだけど、かなり失敗・・・(爆;; 鋼牙視点は良いけど、内容意味不明だし・・・ もうちょっと真面目に書かなきゃ駄目だなぁ・・・(悲 ジャンル別一覧
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